葬祭費・預貯金と生命保険の受け取り、相続税・健康保険・確定申告の変更

 

  

■健康保険と葬祭費(埋葬費)の支給

 

● 国民健康保険

窓口となるのは、住所地の市区町村役場の保険年金課です。

国民健康保険、後期高齢者医療に加入していた方が死亡した場合、葬儀を行った方に対し支給されます。
支給金額は加入先によって、 国民健康保険加入者は5万~7万円、後期高齢者保健加入者は3万~7万円 となっています。
保険料に未納があると、差し引かれることもあるので注意が必要です。
申請期間は、故人の死亡日から2年以内となっています(郵送による申請も可能です)。
実際の支給については、申請を行ってから振込になるまで 2週間から1ヶ月程度です。
また、故人が加入していた健康保険は、死亡により権利を消失しますので、遺族は保険証を返却し、国民健康保険に再加入する手続きを行います。

 

● 健康保険社会保険

社会保険は会社を通しての加入になりますから、全国健康保険協会が申請する先となり、
その窓口は、①故人の勤務先 ②社会保険事務所 ③労働基準監督署の3つがあります。
通常、故人が就業期間中であったのならその勤務先に行って依頼し、既に退職していた場合には社会保険事務所などへ行き、手続きを行って申請します。支給金額は上限5万です。
こちらも申請期間は、故人の死亡日から2年以内となっています。

 

● 国家公務員共済組合

申請窓口は、所属している各共済組合です。
申請の期間は、故人の死亡日から2年以内、給付額は組合により10万円から27万円となっています。

 

 

■預貯金の受取と法定相続情報証明制度

● 預貯金の受取と法定相続情報証明制度

現状 死亡届が出されて約1週間で 故人の預金口座は凍結されると言われていますが、金融機関によって対応がまちまちなのが実情です。銀行は早くて3日から一週間で止まりますが、郵便局やJA農協は止まらないことが多いようです。このため年金等が振り込まれ続けられた結果の過払い分の返還請求問題が起きたりしています。
金融機関からの預金受取方法としては、必要な書類を揃えて提出することになります。
金融機関によって若干の違いはありますが、概ね 被相続人の戸籍謄本(除籍・改正原戸籍)、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明書と全員の実印が押印された銀行所定の用紙となっています。また必要に応じ遺産分割協議書や遺言書も提出します。

提出する金融機関が複数ある場合、法定相続情報証明制度を利用して時間の短縮が可能です。
1つの金融機関へ提出する同様の手間で、以後 法定相続情報一覧図の写しを無料で必要部数発行してもらえます。

法務省ホームページ
◇ 法定相続情報証明制度について(PDF書類)
◇ 法定相続情報証明制度の具体的な手続き(PDF書類)

 

■生命保険の受取について

 

故人が生命保険に加入していた場合、生命保険の受取人は死亡後なるべく2か月以内に、保険会社の本社(保険課)や支社・営業所・外交員のいずれかに連絡を取ります。

現在、「対面式」をとっている保険会社が多く、保険に入るきっかけとなった担当者が直接加入者の住所へ出向いて行き、死亡についての内容を確認する形式をとっています。
確認する内容は、 
①保険証券の番号
②被保険者(死亡者)の氏名
③死亡の原因(事故や病気など)
④死亡年月日
⑤死亡保険金受取人の氏名と連絡先
⑥亡くなられる前の入院履歴や手術の有無など
  

です。

形式上は3年以内となっておりますが、この期間を越えての提出も可能です。
死亡保険金のみを受け取る場合は、被保険者の死亡記載のある住民票(除票)のみとなっています。

 

死亡保険を受け取るには、おおよそ次のものが必要です。

①保険金を受け取るための保険会社所定の請求書
②死亡診断書 (または死体検案書)
③保険証券(紛失している場合、請求書の紛失届欄に印を付ける)
④除籍謄本(または被保険者の死亡記載のある住民票・除票)
⑤受取人の本人確認書類(運転免許証・パスポート・健康保険証のいずれかのコピー)

の5つですが、保険会社によって若干の違いがあります。

 

またこれに加えて受取金額が100万を超える場合は、保険契約者との受取人のマイナンバーの提出も求められます。 死亡原因が事故死の場合には、さらに次の書類等を揃えることになります。

①警察の事故証明書
②死体検案書の原本またはコピー
③事故を伝えた新聞記事
④保険会社所定の死亡診断書

などです。

 

 

■相続税について

 

● 申告の準備

相続税を申告するためには、相続人の確認、遺言の有無の確認、遺産と債務の確認、遺産の評価、相続の協議が必要になります。

 

※面倒なら依頼するのも良いですが、家庭裁判所に行き、書類をもらって自身で手続きを行えば、3千円程度で済みます。

 

(法廷相続)死亡した人の配偶者は常に相続人であり、以下次の順位となっています。

※孫や甥や姪が本来の相続人に代わって相続人となることがありますが、これを「代襲相続」といいます。
※法律上の夫・妻や子でないと相続人にはなれません。たとえば、内縁の妻や夫、認知されていない非嫡出子などです。

 

 

● 相続財産から控除出来るもの

1)債務
被相続人が死亡した時にある債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で 確実と認められるものです。 被相続人に課される所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないものであっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税などは遺産総額から差し引くことはできません。

 

 

2)葬儀費用
法律で控除が認められている費用は、故人が死亡してから納骨するまでの費用のうち、以下の項目に該当する費用です。
①遺体の捜索または、遺体や遺骨の運搬にかかった費用
②葬式や火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
③葬式の前後に支払われた一般的にかかせないとされる費用
(例:お通夜、告別式などの飲食代、心付け、交通費、通信費等)
④神社やお寺に支払った謝礼(例:お布施、戒名料、お車代等)

※ただし、故人の立場や環境における常識的な金額を著しく逸脱していた場合は、認められない場合もあります。

次のような費用は控除が認められていません。
①香典返しの費用
②墓石や墓地の購入費や墓地の賃借料
③初七日や四十九日などの法要にかかった費用

④医学上や裁判上の特別な処置にかかった費用

最後の費用については 例えば司法解剖などが該当しますが、基本的には出てきませんので上記4点を覚えておけばよいでしょう。

 

※葬儀の費用として控除してもらうためには、相続税の申告書に「いつ誰に何のためにいくら支払ったか」を記入する必要があります。葬儀の前後は慌ただしく忙しいものですが、葬儀当日の日付で領収書などはキチンと受け取るようにしておき、領収書の取れないものは、正確な記録を記載したメモを残しておけば、税務署は葬儀費用として認めてくれます。また、初七日法要も 繰り上げて葬儀当日に行ってしまえば葬儀費用に組み込まれます。
よほど込み入った事情がない限りは、次の3つを覚えておけば葬儀費用については大丈夫だと思います。

①通夜や本葬など葬儀関係の領収書は保管しておく。
②領収書のない費用はメモを残しておく。
③香典返し、墓石、法要にかかる費用は葬儀費用にならない。

 

 

● 申告と納税

相続税の申告期限は、被相続人の死亡した日の翌日から10ヶ月以内です。

税金を納める期限も申告期限と同様です。
被相続人(相続財産を残して亡くなった方)が死亡したときの住所地を所轄する税務署に、相続税の申告書を提出し、納税しなければなりません。
相続した資産が、現金以外の場合には、納めるべきお金が手許にない場合があります。

現金で一括払いすることが出来ない場合には、物納という手段もあります。
また、すぐに支払うことができなければ延納をすることもできますので、税務署に行き許可申請を行います。

 

 

● 法廷相続情報証明制度の活用

銀行預金など死者(被相続人)名義の預金払戻しが複数ある場合、法務局(登記所)へ書類(銀行1か所に提出する程度)を申請することで、何枚でも無料で証明書を発行してもらい、 その手間を軽減することができます。この場合の証明書とは、「認証文付きの法廷相続情報一覧図の写し」を指します。ただし銀行へ届ける場合、「遺産分割協議書」は別途必要になりますのでご注意ください。

 

法務省ホームページ
◇ 年金・相続の際の利用について(相続税の申告や年金手続きのための添付書類)  (PDF書類)

 

 

■故人の確定申告

 

1)配偶者の税額軽減
1億6千万円と配偶者の法定相続分相当額まで相続税はかかりません。
配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。
したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。
ただし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込み」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。 なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。


2)所得税などの債務や葬儀費用は相続財産から控除されるので、その金額の確認が必要となります。所得税で給与などから源泉徴収される部分の処理については勤務先に確認しておくとよいでしょう。


3)手続き
税額軽減の明細を記載した相続税の申告書又は更正の請求書は、戸籍謄本と遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者の取得した財産が分かる書類を添えて提出します。
また遺産分割協議書の写しには印鑑証明書も添付します。
相続税の申告後の遺産分割に基づいた配偶者の税額軽減を受ける場合は、分割が成立した日の翌日から4か月以内に「更正の請求」という手続をとらなければなりません。


通常この確定申告については、死亡日から4か月以内としています。

 

 

 

 

 

 

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